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香港 容疑者引き渡し条例改正案 撤回を正式表明 行政長官

2019年9月4日 18時57分香港 抗議活動

3か月近くにわたって抗議活動が続く香港で、政府トップの林鄭月娥行政長官は4日夕方、テレビ演説を行い、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案を正式に撤回することを表明しました。

香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、日本時間の4日夜7時ごろから異例のテレビ演説を行い、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案について、正式に撤回することを表明しました。

条例の改正案について、林鄭長官はことし6月、事実上廃案になるという認識を示していましたが、今回の撤回の表明で、抗議活動の中で多くの市民が求めている「5つの要求」のうちの1つを受け入れた形です。

その理由について林鄭長官は「社会が前に向いて進む出発点として改正案を撤回し、市民の疑いを完全に取り除きたい」と述べました。

一方で、警察のデモ隊への暴力など一連の対応が適切だったかどうかを調べる独立調査委員会の設置など、そのほかの要求については応じない方針を改めて示しました。

一連の抗議活動は3か月近く続いていて、警察との激しい衝突が相次いでいるほか、国際空港や地下鉄が一時使えなくなるなど市民生活にも大きな影響を及ぼしています。

香港政府としては、当初から要求として掲げられていた改正案の完全な撤回を受け入れることで、事態の収束を図りたい思惑があるとみられますが、多くの市民が「1つの要求も欠けてはならない」と主張してきただけに、このまま反発が収まるかは予断を許さない状況です。

市民が求める「5つの要求」とは

抗議活動に参加する市民が香港政府に対して要求しているのは、次の合わせて5つです。

▼一連の抗議活動のきっかけとなった容疑者の身柄を香港から中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案の完全な撤回

▼ことし6月に起きた条例の改正案に反対する若者らと警察が衝突した抗議活動について「組織的な暴動だ」とした林鄭月娥行政長官の見解の撤回

▼抗議活動で逮捕・起訴されたデモの参加者や民主派の議員らの釈放と起訴の取り消し

▼警察によるデモ隊への暴力など一連の対応が適切だったかどうかを調べる独立調査委員会の設置

▼行政長官の直接選挙など民主的な選挙の実現

行政長官「4つの行動」表明

香港政府トップの林鄭月娥行政長官はテレビ演説で「対話を通じて香港のために活路を見いだすべきではないか」と呼びかけたうえで、政府として「4つの行動」を取ることを表明しました。

このなかで林鄭長官は、条例の改正案を正式に撤回し、市民の懸念を取り除くこと、抗議活動をめぐる警察の対応について外部の監視機関に海外の専門家を招くなどしてその調査結果に真摯(しんし)に対応すること、市民と対話を進め、ともに解決方法を探ること、地域のリーダーや専門家を招き、問題の調査・研究を進め、政府への提案を募ることを挙げています。

そのうえで林鄭長官は「『4つの行動』が困難な局面を打ち破る一歩となり、対立を対話に変えることで社会に変化がもたらされることを願っている」と述べました。

香港 抗議活動の経緯

抗議活動のきっかけとなったのは、容疑者の身柄を香港から中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案が、議会にあたる立法会の本会議で審議されようとしたことでした。

民主派の団体は、条例が改正されれば中国に批判的な活動をしている人などの引き渡しを中国側に求められるおそれがあり、高度な自治を認める一国二制度が脅かされる、として反発を強め、デモを呼びかけました。

ことし6月9日には主催者側の発表で103万人がデモを行い、参加者と警察が衝突してけが人も出る事態となりました。

こうした事態を受けて6月15日、香港政府トップの林鄭月娥行政長官は「さらに説明し、意見を聞く時間を持つことにした」と述べ、条例改正案の審議を当面延期すると発表しました。

しかし民主派の団体はあくまでも改正案の撤回を求め、翌16日には香港に住むおよそ4分の1にあたる200万人近くがデモに参加し過去最大規模となりました。

林鄭長官は2日後の18日、改正案は立法会の議員の任期中に採決が行われる可能性は低いとして、事実上廃案になるという認識を示しました。

しかし抗議活動は、改正案の完全な撤回や民主的な普通選挙の実施など5つの要求を掲げながら続けられ、若者らが議会に突入したり、国際空港で座り込みをして多くの便が欠航したりするなど、混乱が続いていました。

条例改正案めぐる中国政府の立場

中国政府は当初、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案について、香港が犯罪者の逃亡先になるのを防ぐためにも支持すると表明していました。

その後、香港での大規模なデモなどの抗議活動が行われたのをうけて、香港政府が条例の改正案の審議延期を発表すると、中国政府としても理解する考えを示しました。

ただ、中国政府は、抗議活動の要求に屈したと受け止められかねないため、完全な撤回には慎重だったとみられます。

中国政府としては、3か月近く続く抗議活動が収束する見通しが立たない中、来月1日には、国威発揚の機会として重視する建国70年の記念日を控えていることから、これを前に、事態の沈静化に向けて、一定の譲歩を容認した可能性があります。

香港市民は

林鄭月娥行政長官のテレビ演説を受けて、香港市民の間では一定の評価をする声が聞かれた一方、撤回が遅すぎるなどとして、不満の声も聞かれました。

市民の1人は、「少しは成果が得られた気はします。林鄭長官が市民の意見に耳を傾けるのはいいことです」と話していました。

また別の1人は、「3か月前に撤回すべきなのに遅すぎました。適当にあしらおうとしているように感じます」と話していました。

さらに別の1人は、「要求は5つあって、ほかの4つには全然触れていません。これからも皆で立ち上がり、警察の暴力やいろいろな不正義に抗議していかなければなりません」と話していました。

民主化運動の「女神」とも呼ばれた周庭氏は

民主化運動の“女神” 周庭氏「引き続き戦う」

5年前の「雨傘運動」の中心メンバーの1人で、民主化運動の「女神」とも呼ばれた大学生の周庭氏は、林鄭月娥行政長官のテレビ演説の後、4日夜、NHKの電話インタビューに日本語で応じました。

この中で、周氏は、「この3か月で多くの人が逮捕され、警察に攻撃されて負傷し、自殺者まで出た。いまさら撤回というのは遅すぎる」と述べ、林鄭長官の対応を厳しく批判しました。

そのうえで、「私たちは、5つの要求を求めています。これからも戦い続けます」として、民主的な普通選挙の実施や、逮捕された抗議活動の参加者の釈放など、すべての要求が受け入れられるまでは抗議活動を続けるとしています。

さらに、林鄭長官が抗議活動が一部で過激化していると非難していることについては、「デモ隊の暴力を批判する前に、警察の暴力と香港の政治システムによる形の無い暴力を無視している。不公平で、根本的な政治問題を理解していない」と反論しました。

また、今後の対応については、「警察の暴力に対して、独立した外部調査を行うとともに本当に民主的な選挙を行うことが私たちにとって必要だ。これから、政治的な弾圧もエスカレートすると思うが、引き続き戦っていきたい」と述べ、抗議活動を続ける考えを示しました。

民主派団体幹部「要求にさらに応えるべき」

香港の民主派団体「香港衆志」の幹部の黄之鋒氏は自身のツイッターに、「今さらこれだけではどうにもならない」と投稿し、香港政府の対応は遅すぎると批判しました。

そのうえで、「警察の激化する暴力は香港社会に消えない傷跡を残した。林鄭長官が撤回を表明しても市民は誠実な対応とは信じないだろう」と指摘しています。

さらに黄氏は、「林鄭長官は実態を把握できておらず、民主的な普通選挙の実現など5つの要求すべてに応じる必要がある」として、条例案の撤回だけでなく、市民の要求にさらに応えるべきだと訴えています。

デモ参加者の要求は満たされていない